観光は町の「基幹産業」 窓口一本化し新組織を
任期満了に伴う長野県山ノ内町長選は2月26日に投開票され、無所属新人で会社役員の平澤岳氏(ひらさわ・がく、50)が、5選を目指した無所属現職の竹節義孝氏を破って初当選した。
平澤氏は東京都出身で、小学生から中学生までを同町で過ごした。米国のストラットン・マウンテン・スクール卒。1998年の長野オリンピックのアルペンスキー代表というスポーツマンだ。選挙戦ではトップセールスによる観光の活性化などを訴え、有権者の支持を集めた。氏は4月27日、東京・池之端の観光経済新聞社を訪れ、観光への思いを語った。
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――町政における観光の位置付けは。
「町の産業は観光と農業だ。いずれもつながっており、観光客が増えれば農業も活性化する。観光のウエートは非常に大きく、基幹産業といえる。しかし、観光客の受け入れ態勢は十分でなく、課題は少なくない。逆にいえば伸びしろはある。湯田中渋温泉郷、志賀高原、スノーモンキー、リンゴやブドウ、モモなどの果物…。観光のポテンシャルも高く、やり方次第だ。リーダーシップを発揮して観光改革を進めていく」
――まず取り組むことは。
「町一丸となって観光の魅力を国内外にPRする体制を作る。現状、組織がバラバラに動いているため、力が分散されている。組織の統合ではないが、窓口の一本化が必要と考えている」
「中身は今後検討していくが、DMOというか、イメージ的には大阪観光局だ。観光商工課で行っている業務を含めて、ポスター製作から観光プロモーション、フィルムコミッション的業務、イベントの企画・運営など、観光に関することはここで手掛けていく。できるだけ早い時期に発足させたい」
――誰をトップに据えるか。また、組織の財源確保も重要だ。
「外部人材の登用も含めて検討する。必要であればまず私が就き、時機をみてバトンを渡すことも考えたい。町の観光予算を新組織に充てるのか、宿泊税などといった新たな措置をとるのか、プロジェクトチームを作って検討する」
――コロナ禍もピークを過ぎ、外国人を含めて観光地に人が戻ってきている。
「インバウンドに期待は大きい。特に、スキー客だ。いま、米国では一大スキーブームが起こっており、カナダなどはパンク状態にある。次のデスティネーションはアジアの雪国・日本であり、規模の大きさ、雪質の良さから志賀高原も選択肢の一つとなり得る」
「他のスキー場に負けないよう、受け入れ態勢を整備していく。英語表記、レンタルショップの充実などはもちろん、旅館・ホテルにおけるおもてなしの質向上にも取り組む」
「グリーシーズンについてもメニューを充実させていく。浴衣を着てのまち歩きなど、日本の文化を感じさせる工夫も必要。インバウンド=雪、という図式も塗りかえたい。
【聞き手・内井高弘】
山ノ内町 町長 平澤岳 氏